Art Carre~アートカレ 24期 北川りさ個展 「生きること」
作家のメッセージ。
私にとって昨年は、「生きている」ことを切に感じる1年でした。食べることで体が作られることを目の当たりにしました。
体調が優れない母が懸命に作った料理から出た野菜の皮や、不慣れな私が作った料理から出た野菜の皮。それも、高齢の祖母が育てた野菜であるそれらを布に染めることによって、命を染め移しました。
今回の展示では、そのほかにも植物染料を多く使用し、赤色には古くから女性特有の病に役立てられてきた茜を使用しました。
私は、人が何かを祈ることは本能だと思っています。お守りや魔除けの意味を込めて、特有の誰かのため、自分のため、見知らぬ誰かのために、祈るように染めました。
一方で、自分の心模様を染め移すには、絵の具で絵を描くように染めれる化学染料が適しています。
昨今は環境保護の観点から、植物染料は素晴らしくて化学染料は良くないという社会的イメージがあり、それに共感しながらも疑問も抱きますし、私は有害物質を含まない化学染料を多用しています。
今後、人が優れたものを創り出した上で環境も守れる存在になっていけると信じているので、化学染料も植物染料も分け隔てなく使用した展示になるように心がけました。
北川りさ
一押し!
今回は、作家一押しというより、
なぜ、【タコ】がいるの?という、疑問にこたえてもらいました。
赤色、キュート、ユーモラスの観点で、「タコ」のモチーフにしました。北川りさがずっと大切にしている、力が抜ける感じや笑いが起こる、「北川りさらしさ」です。シュールな中、北川りさが存在したバランス。
「たこピー」は、草木染めし、足は麻を使用しています。
新春にふさわしく、皆様に多くの幸せ【多幸】の年になりますように。願っています。
ポイントなる【茜】
茜は女性の健康維持や症状の改善に適した植物と考えられ、茜で染めた布は、女性の腰巻きとして使用され、生理痛や生理不順の予防を目的としていたと伝えられています。
漢方の視点においても茜は、【血】の重要な要素があり、個展のテーマである【いきること】に結びついています。
タイトルは【日々の重なり】
【茜】と作家の祖母が育てた野菜であるそれらを布に染めることは、
心の色を染め移すこと、そして生命の色を染め移すこと、、それらのかさなりあうこと、とても深い世界観を表現した作品です。
【茜の根】は漢方で「茜草根」として薬効の役割、
古くから根は赤色の染料としても利用されており、染めの衣服を身に着けることで、草木の薬効を皮膚から吸収し、健康を維持するという考え方も存在します。
作家のメッセージ・・・【いきることは、たべること】
植物を、調理して食べる、煎じて服用すること、根や皮の部分を染料にして身に着けること、
すべての連鎖が、【いきること】につながる。
日々を生きることが、【日々の重なり】、、それらがまた、連鎖を生み出す。